2018年9月20日豊川保健所地域歯科保健課題対応事業研修会

平成30年9月20日(木)午後2時より、豊川市歯科医師会館2階講堂にて、豊川保健所地域歯科保健課題対応事業研修会が開催されました。支援の必要な児の早期からの歯科予防管理というテーマで、豊橋キッズデンタルクリニック医院長の中野 崇先生を講師にお迎えし、1時間半の講演をして頂きました。中野先生は、日本小児歯科学会専門医及び日本障害者歯科学会専門医・指導医でありますので、その分野の高い専門知識・スキルに裏打ちされた長年の臨床経験を惜しみなく伝授して下さり、一般開業医の私にとって今まであやふやだった所もクリアーになり、大変勉強になりました。まず最初に、障害のある児等の一般的特性と口腔内の特徴についてお話下さいました。ダウン症の方は小児期にはう蝕が少ないが、歯周疾患は早期重度化の傾向がある事、又心疾患を伴う症例では観血的処置に抗菌薬の前投与が必要である事。そして、発達障害の子供は社会性、コミュニケーションなどの障害があり、感覚過敏などによって社会生活に困難が生じるので、特性の理解を引き出す工夫が大事であると述べられました。次に、先生が自身のクリニックで行っている障害児の歯科治療の実際を動画等で細かく見せて頂きました。情報を視覚化する絵カード、イヤーマフ、チェアーの照明にミラーを取り付ける等の器材・器具に関する事と系統的脱感作法やオペラント条件付き等の方法に関する事を説明していただきました。

しかし、私が一番感銘を受けたのは、問診票です。来院の動機、現在の体調、出生からこれまでの発達、これまでの歯科受診経験とその様子、家庭での仕上げ磨き時の様子、睡眠・食を中心とした生活習慣等詳細に保護者からヒアリングし、どこにリスクがあり、予防・改善できるかをとことん話し合い、信頼関係を構築していく事です。無知は偏見を、偏見は差別を生じると思いますので、ここのファーストステップがいかに大事かを実感致しました。最後に障害者歯科の役割と意義として地域の特別な歯科支援の必要な方々の手助けが、かかりつけ歯科医で提供できる事が安心・安全につながり、要支援者が一人で悩み続け、孤立しない事が重要であると述べられました。私もできる範囲ではありますが、そういった方々にしっかりと寄り添っていきたいと思います。

佐藤知子

カテゴリー: 未分類 パーマリンク